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衛星情報を利用したブランド米の生産支援

国内事例① 地方独立行政法人青森県産業技術センター
出典:青森産技

地方独立行政法人青森県産業技術センター(以下、青森産技)は、米の高品質化に向けて、衛星画像を用いた解析結果により収穫時期を水田一枚ごとの収穫時期を予測するシステムを実用化しました。

平成29年度に第三回宇宙開発利用大賞農林水産大臣賞を受賞した、「青天ナビ」では、衛星データを利用した水稲の生産管理を行うことを可能にしました。本システムを利用することで、青森県のブランド米「青天の霹靂」は、高品質な米の生産を実現し、デビュー以来6年連続で特A級と評されたことからも、高品質が保たれていることが伺えます。

図1 収穫適期マップ
出典:青天の霹靂
図2 タンパクマップ
出典:青天の霹靂

青天ナビは収穫適期マップ(図1)とタンパクマップ(図2)という二つの機能を備え、前者は水田一枚ごとに適切な収穫時期を伝えるために利用され、後者では水田のタンパク質含有率を把握可能なため、施肥指導において用いられています。これらの機能はWebアプリとして提供され、営農指導員だけでなく、農家もスマートフォンなどを通して利用できます。

青森産技は、衛星データを利用したリモートセンシング機能と併せ、施肥設計を行うための「施肥なび」も提供し、各農家で使われている堆肥の肥料成分を考慮した施肥設計を行えるサービスも提供しています(図3)。

図3 施肥なび
出典:青森産技

本事例の重要な点として、青天の霹靂の水田が津軽平野に広がり、広域を定期的に撮影している衛星データと相性が良かったということがあります。収穫時期の予測結果はWebアプリとして利用できるため、スマホでも手軽に情報を取得できるという仕組みになっている点も着目すべき点です。

また、このアプリは、開発段階で営農指導員などの利用者から十分な意見を取り入れ、より使いやすい仕様へと変更を重ねながら現在の形となっているようです。衛星データ利用については、県だけでなく農研機構農業環境技術研究センターなどの支援を受けて技術開発が進められたため、精度の高い予測結果が担保されています。

衛星データとの相性の良さ、利用のしやすさ、精度の確からしさ、これらの要因により、実際に営農指導員や農家に使われる収穫適期マップサービスとして成功を収めていると言えるでしょう。

参考文献

  1. 青森産技
  2. 内閣府 グットプラクティス事例集

類似研究、技術

  1. 岡山大学生物生産システム工学研究室
    リモートセンシングによる水田の調査、レーザ距離計による植物の位置検出を可能にしたものです。
    URL:http://mama.agr.okayama-u.ac.jp/thema.html
  2. 福島大学 牧雅康准教授
    リモートセンシングを用いて鹿の個体数の把握や水稲のモニタリング等をします。
  3. 農業情報学会 リモートセンシング部会
    ドローン等を利用して農地をリモートセンシング、GISと併用して活用。自然環境情報なども収集できます。
    URL:https://www.jsai.or.jp/%E9%83%A8%E4%BC%9A%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E9%83%A8%E4%BC%9A
  4. 北海道農業研究センター
    リモートセンシングを利用して米の美味しさに影響するタンパク含有率を推定し、地図化したものです。
    URL:https://www.hokuren.or.jp/common/dat/agrpdf/2014_0317/13950391671541844982.pdf
  5. SkyLink Japan
    ドローンとリモートセンシングにより米などの栽培データを所得します。
    URL:https://www.skylinkjapan.com